最高裁判所第一小法廷 平成8年(オ)1825号 判決 1999年11月25日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人坂本兆史の上告理由一及び三について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づき又は原判決を正解しないでこれを論難するものにすぎず、採用することができない。
同二について
被上告人が商法上の商人に当たらないとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。そうすると、本件においては、上告人主張の債権が商人間においてその双方のために商行為たる行為によって生じたものとはいえないから、その余の点につき判断するまでもなく、上告人主張の商事留置権の成立を否定した原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するか、又は原判決の結論に影響を及ぼさない部分についてその違法をいうものに帰し、採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
(裁判長裁判官 藤井正雄 裁判官 小野幹雄 裁判官 遠藤光男 裁判官 井嶋一友 裁判官 大出峻郎)